「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」成立について ~太陽光発電設備のケーブル盗難対策の一層の強化について~

2025/06/17

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)から太陽光発電設備のケーブル盗難対応については、定期的に注意喚起のお願いをしておりますが、全国的にケーブル盗難事故が続発しています。
今般、2025年6月13日付で盗難ケーブルを買取らせないための「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」が国会で成立しました。JPEA並びに、一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)は、本法案の成立を歓迎するとともに、一層の対策強化にむけて、引続き関係省庁と連携・協力してまいります。

<当該法律の概要>
盗難ケーブル対策には、発電所に入らせない、取らせない、買取らせない対策が必要です。「入らせない、取らせない」ついては、発電事業者による対策が可能ですが、今回の「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」は、盗品を買取れなくする法律で、大きく3つの内容で構成されます。
1.金属買取事業者の届出、買取時の本人確認、取引記録保持義務付け、盗品疑いがある場合の申告義務付け、違反の場合には罰則
2.指定金属切断工具(犯行使用)を、正当な理由なく隠して携帯する違反行為
3.金属盗難に関する情報の周知徹底
などであり、「入らせない、取らせない」に加え、「買取らせない」ことで、盗難ケーブル対策が進みます。

盗難被害は、太陽光発電の特別高圧や高圧設備のみならず、小規模事業用発電設備や蓄電設備まで拡大しています。ケーブル盗難に遭うと補修工事のほか補修回復に時間がかかり、停止期間が長引くと再エネ電源供給にも支障をきたします。また、近隣住民の防犯に対する懸念や再エネ電力の供給停止などエネルギー安定供給の他、地域の安心・安全の面でも無視できない問題だと考えております。

太陽光発電設備を運営・管理している皆様におかれましては、地域の安心・安全、並びに地域との共生を最優先にてご対応を頂き、以下の対策例をご参考に、改めて防犯対策の更なる強化と保守運営の再点検などの対応をお願い申し上げます。
1. 設備設計面での配慮・対策例
1) 露出(コロガシ)配線はなるべく避ける
2) 地下埋設配管とハンドホールやケーブルラックのロック設計
3) フェンス・柵・鍵など防犯対策強化、草刈により所内が外から見えるようにする
4) セキュリティーシステムの導入、侵入アラートシステムによる夜間監視
5) 侵入者に対して警告や光と音で威嚇する設備や記録可能な監視カメラの設置
6) 監視システムのケーブル管路の保護など
7) アルミケーブルによる配線もしくは張替え(アルミケーブルの設置には、専用端子や専用工具での特殊施工の講習が必要となります。メーカーによる講習会を必ず受けて施工願います)
8) 他国語(クメール、ベンガル、ミャンマー、ベトナム等)の注意喚起看板
2.運営面での配慮・対策例
1)ケーブル盗難異常検知と緊急駆け付け対応
2)犯人は必ず下見や事前にセンサー確認を行います。不審な状況が発覚すれば、直ちに最寄りの警察署に通報対応
3)近隣の方々や発電所間の防犯協力、地域共生の推進による防犯体制の構築
4)警備会社等を活用した防犯対応強化
5)動産保険ならびに休業損害保険等の加入による損害対策(防犯対策や対応が不十分な場合には保険が適用されない場合があります。再犯防止を含め、被害を防ぐ対応を十分にお願い致します)

事業者にとっての抜本的な対応が難しい中、近隣の方々との治安協力・地域共生の推進や定期見回りなどで効果を上げているケースもございます。太陽光発電設備のケーブル盗難対応については、より注意を払って頂き、社会のエネルギーインフラとしての責務を果たしていけるようにお願い致します。

参照:2024年7月2日JPEA HP掲出の注意喚起パンフレットもご参照下さい。

最後に、JPEAとREASPでは、今般の損害保険会社による保険引受け条件の大幅見直し、また新規事業における原則盗難不担保の状況が、太陽光発電の普及拡大に大きな懸念となることから、業界団体、保険仲介/リスクマネジメント会社、金融会社・シンクタンクを委員とする緊急タスクフォース(TF)を組成し、抜本的な対策を検討いたしました。2024年10月には、「太陽光発電の持続可能な保険契約・運用の実現に向けた提言書」及び「太陽光発電リスク対策チェックシート」、「太陽光発電所向け災害・盗難対策ガイドライン」をJPEA・REASP主導で取り纏め、公表しておりますので、こちらも是非ご活用ください。