1. なぜ長期安定適格太陽光発電事業者を目指しているのか

百年ソーラー構想イメージ
当社が長期安定適格太陽光発電事業者を目指す理由は、太陽光発電所を長期にわたり安定運営する基盤を確立するためです。適格認定により、複数発電所を集約化、一括管理する際に生じるオペレーションコストを削減でき、事業推進の加速による課題解決の早期化が期待できます。
例えば、発電所の集約化や名義変更時に義務付けられている説明会を一部省略または簡略化できる面では、集約化の推進オペレーションにかかる時間を20%以上、短縮できると考えております。百年ソーラー構想に基づいて、太陽光発電所を地域に根差した持続的電源として、FIT期間終了後も設備の価値を維持し、地域経済や脱炭素への貢献につなげたいと考えています。
2. 集約化による具体的なメリットは何か
複数の太陽光発電所を集約して一括運営することで、スケールメリットによる運営コストの削減が可能になります。
例えば、数MWの発電所を集約化することで、点検・保守作業をまとめて実施し、人員や設備を効率的に活用できるため、個別運営に比べてより安価かつ高品質な維持管理を実現可能となります。また、統一された管理体制の下で設備状況を常時モニタリングできるため、異常の早期発見と迅速対応が可能となり、発電の安定性も一層向上します。このように集約化によってコスト低減と運用品質向上を両立させ、長期安定運営に必要な基盤を強化できる点が大きなメリットです。
3. 地域とも共生するためにどのような取り組みをしたか

百年ソーラープロジェクトのTV放映資料
(※テレビ山梨「スゴろくニュース」より)
地域と共生するため、当社は事業組成の段階から、地元企業や自治体にご参画していただいています。例えば、山梨県で2022年に開始した百年ソーラー山梨のプロジェクトでは県の企業局や地元金融機関と共同出資し、地域のパートナーとともに事業を立ち上げました。地域の皆様と信頼関係を築きながら、発電所の運営方針や地域貢献策を一緒に検討していくことで、地域社会と調和した事業運営を実現することができました。また、地域雇用の創出や電力の地産地消、将来的には災害時の電力供給協力など、地域に根差した取り組みも検討を進めています。こうした活動を通じて、太陽光発電所が地域の資産として長く活躍できるよう努めております。
4. 事業運営にともなうDX化への具体的な施策は何か

自社モニタリングシステムの例
当社では、事業運営におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進しています。例えば、発電所に導入している監視システムデータから、発電所の状況を一括で確認し、発電状況や異常をリアルタイムに把握できるシステムを独自開発・運用しています。これにより異常の早期発見と迅速な対応が可能となり、設備稼働率の向上につながっています。
また、発電所評価(デューデリジェンス)には独自のデータ分析ツールを活用しており、発電量や劣化状況等を迅速に分析して事業判断を効率化しています。 さらに、日々の報告書作成や申請業務にはRPAを導入し、ドキュメント作業の自動化によって業務効率を高めています。これにより、従来は手作業で1時間要していた業務をたった数十秒で完了できるワークフローを各所で取り入れ、定型業務に費やしていた時間を、その他の業務へ⸻、例えば、当社の強みである、各種技術をさらに進化させるなど付加価値の高い業務に振り向ける体制があります。 こうしたDX化の取り組みにより、運営の効率化と高度化を実現し、長期にわたる安定運営を支えています。
5. 事業運営にともなう金融コンソーシアム組成の苦労や工夫は何か

事業組成例
百年ソーラー事業は、取得済みの発電所がない状態からプロジェクトが始まる「ブラインドプール型」という構造で、大量の低圧発電所を順次取得していくという、従来のプロジェクトファイナンスとは異なる挑戦的なモデルです。取得価格やFITの残存期間や発電量などが、案件ごとに変動しやすく不透明な中、スタートアップである当社が投資基準に基づき発電所を選定・再生するという仕組みは、金融機関にとっても前例の少ないものでした。
この難しさを乗り越えるため、当社は金融機関と連携し、収益予測や投資判断の基準書を綿密に作成し、契約条件やリスク分担についても、懸念に一つ一つ丁寧に向き合うことで合意形成を進めてきました。丁寧な協議を重ねた結果、金融機関をはじめとする関係者の皆様に事業の意義と可能性をご理解いただき、協力体制を構築できたと考えています。百年ソーラー事業の立ち上げを実現し、地域に根差した持続可能な電源構築への第一歩を踏み出すことができました。
6. 低圧事業者へのメッセージ
個人で低圧太陽光発電所を運営されている方々は、遠隔地設備の管理負担や専門知識の不足、地域との関係構築など、一人では解決が難しい課題に直面しやすいのが現状です。こうした課題を解決するには、発電所の集約と、地域密着の運営モデルへの移行が有効だと考えます。複数の発電所を専門チームで一括管理することで、距離や知識の壁を乗り越え、安定した運営と収益確保が可能となり、さらに電力の地産地消や地域経済への貢献効果も期待できます。
こうした新しいモデルを体現する取り組みとして、今年九州で立ち上げた「百年ソーラー事業」にもぜひご注目ください。低圧太陽光発電所事業者の皆様にとっては、将来の選択肢を広げる“最適な出口”の一つとしてご活用いただけます。
また、この百年ソーラーの事例が、太陽光発電全体の長期安定運営を目指す際の参考となり、共に次世代まで続く持続可能な太陽光発電事業を築く一助となれば幸いです。
企業の参照URL
百年ソーラー®